マメ知識!「入国」と「上陸」の違い
本ブログではいつもとは違うチョットした豆知識を扱います。
外国人の方が日本に来るとき、よく「入国する」という言い方をしますよね。
また、別の単語で「上陸」という言葉もあります。
一見すると、この「入国」と「上陸」って何となく似たイメージです。
でも、実はこの2つの単語は全く異なる意味を持った言葉なんです。
以下、順にみてみましょう。
日本という国の領域は??
ここで重要なのが、「そもそも、日本という国の支配権が及ぶのはどこからどこまでなの?」ということです。
世界各地に「国」は存在しますが、それぞれの国ごとに支配権が及ぶ範囲が決められています。
ちなみに、国の支配権が及ぶ範囲=「領域」と呼びます。
「領域」は3つに分解できます。
1つは「領土(陸)」、もう1つは「領海(海)」、最期の1つが「領空(空)」です。いわゆる、陸海空ですね。
「領土」はその名の通り、日本の国の「陸」を意味しますので、皆さんがお住まいの土地が日本の領土です。
日本は大小6,800もの島々(島嶼部)で構成されていますが、それ全てが領土です。
それから、上記の画像では「領海」のエリアが青色の〇印で示されています。
領海はその基準線から外側に12海里(約22㎞)までとなります。
そして、「領空」は基本的に「領海」と同じエリアの上空間を指します。
これら3つ全てを合わせた範囲が「領域」となる訳です。
日本の領域に入る=「入国」
上記でおさらいした「領域」ですが、この範囲に外国人が入ることを「入国」と呼びます。
飛行機や船に乗って日本の「領域」に入った瞬間に「入国」したことになります。
適法か違法かを問わず、物理的に「領域」に侵入すれば「入国」です。
出入国管理及び難民認定法(抄)
第3条1項
次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入ってはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第9条第4項の規定による記録又は上陸の許可を受けないで本邦に上陸する目的を有する者
よくニュースで「〇〇船籍の船で〇〇人が不法入国した」と摘発されることを耳にします。
これは国外から船に乗って、日本の「領海(領域)」に無断で侵入したことになる訳です。
逆に言えば、直接に「領土(陸)」に入っていなくても、海の上や空の上で既に「入国した」ことになるんですね。
日本の領土(陸)に入る=上陸
ここまでを読んでわかる通り、「上陸」は正に日本の「領土(陸)」に足を踏み入れることを指します。
なので、順番でいえば外国人は、まず最初に飛行機や船で日本に「入国」してから審査を経た上で「上陸」するということになります。
皆さんおなじみの空港での審査を行っているのは「上陸」ということなんです!
そして、「上陸」については厳しく審査・管理がなされています。
出入国管理及び難民認定法(抄)
第6条1項
本邦に上陸しようとする外国人は、有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならない。(~以下省略)
同条2項
前項本文の外国人は、その者が上陸しようとする出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければならない。
このように「入国」と「上陸」という単語1つとっても、法的に全くことなる意味があるんですね。
同じ日本人ですら曖昧なイメージを持っているので、外国人の方にとってはより難しい区別かもしれません。
外国人の入国や上陸申請について専門的な知識を有するのは、行政書士の中でも申請取次の有資格者のみです。
もしも外国人の上陸申請で相談したいことがあったら、「そうだ、行政書士に相談しよう!」と気軽に声をかけてください。