閉鎖登記簿とは何か

あまり聞き馴染みのない『閉鎖登記簿』って何なのでしょうか?

今回はこの点について記したいと思います。

通常だと、土地や建物の『登記簿』は公開されていることはご存じの方も多いと思います。

これは別の記事でも書いたように、不動産に重要な「登記」「対抗要件」のために、外部から不動産をみたときに一見して権利関係が判読できるよう『公示』するためです。

土地や建物が存在しなくなったらどうするか?

『公示』という制度は不動産にとって非常に重要なものです。

しかし、その「不動産そのものが存在しなくなったら」どうでしょうか?

存在しなくなった不動産なのに、古い情報だけは公示されているとしたら逆に不便です。

そのため、下記のような場合には、その登記簿を「閉鎖」して通常の公示対象から外します。

  • 合筆や区画整理の換地処分により消滅した地番の登記簿
  • 滅失登記された登記簿
  • コンピュータ様式に移行して使用されなくなった従前の紙の登記簿
  • 登記簿の枚数、破損により新たな用紙に移記した場合の従前の登記簿

閉鎖された登記簿をみたいときは

では、閉鎖された登記簿はもう見ることはできないのでしょうか?

実は、そうではありません。

閉鎖された登記簿であっても過去の履歴として閲覧・参照したいときには法務局の申請で『閉鎖登記簿』として指定した上で申請をすれば誰でも閲覧・証明書の取得が可能です。

ちなみに実務でよく使うのは、建物の開発申請・建築許可を検討するにあたり、過去に建物があったものの現在は滅失されて閉鎖登記簿を取得しなければ情報がわからない場合などです。

閉鎖登記簿はいつまでも存在するのか

そんな『閉鎖登記簿』ですが、閲覧や取得には時間的な期限があります。

閉鎖登記簿の保存期間の問題です。

土地の登記簿は50年間、建物の登記簿は30年間が原則です。

また、昭和63年(1988年)7月1日以前に閉鎖された登記簿は20年間となりますので注意が必要です。

そもそも一般的には登記簿そのものに馴染みが無い方が多いので、あまり気にはしていないかもしれません。

しかし、私たち実務家にとって不動産の「登記簿(登記事項証明書)」は情報の宝庫です。

仮に20~50年も前に閉鎖された登記簿であっても、そこにある情報から過去の土地の利用状況であるとか、所有者の変遷のほか、場合によっては税金を滞納していたというような細かな情報まで判読できる場合も少なくありません。

不動産を購入する場合や、所有の土地・建物を有効活用するにあたっても関係する閉鎖登記簿があれば一度、確認しておくことをオススメします。

なお、登記簿の判読には専門性が必要となりますので、不動産コンサルティングも扱っている当事務所へ是非、気軽にお声掛けください。

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