離婚は年に19万3千組!他人事ではない?

結婚はいつの時代も社会の一制度として大きな役割を果たしてきました。

現代では性の多様性が受け容れられ LGBTQ+ が当たり前の存在になろうとしています。

そんな結婚という制度と一対になるものとして「離婚」もまた身近なものといえます。

今回はこの「離婚」についてお話をしたいと思います。

主な離婚の手続き方法

結婚をするとき、役所の窓口で「婚姻届」を提出した覚えがある方も多いのではないでしょうか。

実は、離婚も同様に、役所の窓口で「離婚届」を提出することで制度手続きとしては完了です。

戸籍法上は難しいことはなく、夫と妻それぞれの署名・押印と証人2名の署名・押印をすることが求められます。

当事者双方に離婚意思の合致があれば、届出書そのものの代署・代印も可能です。

また、証人は当事者以外の成人であれば構いません。

届出の方式は本人出頭(夫か妻が窓口へ行くこと)が不要で郵送や第三者に提出を委託することも可能です。

通常、離婚届はお住まいの市区町村役場へ提出しますが、戸籍謄本の添付があれば全国どこの市区町村役場へ対してでも提出が可能です。

離婚の方法

届出の仕方だけみると非常にカンタンな離婚ですが、その離婚を届け出るまでの方法にはいくつか種類があります。

大きく4つの方法に分かれており以下の通りです。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

令和4年度「離婚に関する統計」の概況  令和4年8月24日発表:厚生労働省 によれば、令和2年の1年間で日本国内の離婚件数は約19万3千組に上っています。

そのうち、協議離婚が占める割合が88.3%と大多数であり、調停離婚が8.3%、審判離婚が1.2%、和解も含めた裁判離婚が2.2%となっているのが現状です。

次に、それぞれの離婚方法の概要を知りましょう。

協議離婚とは

協議離婚とは、夫婦間の離婚意思の合致と届出によって成立する離婚をいいます。

民法(抄)

第763条

夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

そのため、協議離婚の要件としては実質的な要件としての「離婚意思の合致」と、形式的な要件としての「戸籍法に基づく届出」が必要です。

調停離婚とは

調停離婚とは、調停委員会が当事者を仲介し、合意の成立を目指す手続きをいいます。

逆にいえば、夫婦の自発的な「協議」が整わない場合に、その夫婦「以外」の第三者を介しながら互いの協議を成立へ向けて進めるという手続きです。

また、調停が裁判所で行われることから裁判と同様に思われる方も多いですが、調停は「あくまでも話し合いによる解決を目的」としています。

ですので、訴訟(審判や裁判)の場合と異なり法律上の離婚原因(民法770条第1項各号)がなくても話し合いでの解決が期待できる場合に利用しやすい制度といえます。

調停離婚の申立てによって呼出しを受けた当時者等の事件の関係人は、原則として調停期日に出頭する「義務」があります。

正当な理由なく出頭しないときは過料の制裁が定められていますので、例えば、夫婦の一方だけが協議に応じないといった膠着状態においては利用の価値があるといえます。

また、日本の離婚制度で審判離婚や裁判離婚を行うにあたっては「調停前前置主義」が採られているので、いかに夫婦が互いに裁判をしたいとしても必ず調停を経ないとなりません。

調停が成立しない場合は、審判離婚へ移行できる場合を除いては調停不成立として終了するか、調停を取り下げるかのいずれかとなります。

離婚訴訟を提起しようとする場合、調停不成立証明書が必要となるため調停は必ず必要な手続きといえます。

審判離婚とは

前述の調停離婚は家庭裁判所にて行われます。

通常、これが不成立に終わったあとは離婚訴訟の提起(つまり裁判離婚を目指す)となるのが原則なので、審判手続きに移行することは一般的ではありません。

しかし、調停が不成立であっても主要事項については合意をみている場合や、一方が頑なに合意に達しない場合にまで離婚訴訟を提起させるのは無駄が多くなります。

そのことから、家庭裁判所が調停に代わり職権で行うことができる審判が用意されているというわけです。

そのため、夫婦の当事者が審判離婚の申立てをすることはあり得ません。

裁判離婚とは

前述の通り、夫婦である当事者が「協議」での合意に至らず、また、その後の「調停」も不成立に終わると離婚するためには訴訟を提起するしかありません。

それが裁判離婚ということになります。

これは離婚という法律効果を得るための訴訟であり、裁判である以上は夫婦が互いに自分の主張をブツけ合うということになります。

民法(抄)

第770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

①配偶者に不貞な行為があったとき。

②配偶者から悪意で遺棄されたとき。

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

したがって、裁判離婚を裁判所に認めてもらうには民法770条1項の1号ないし5号の離婚原因が存在するという事実を示す必要があります。

基本的には、1号~4号の離婚原因を主張立証することを優先して検討し、それらが認められるかどうか微妙な場合には必ず5号にも該当する旨を併せて主張しておくことが重要となります。

あとは、とにかく裁判において証拠を基に主張立証の活動をすることになります。

晴れて裁判所に離婚原因を認めてもらうことができれば確定判決が得られます。

判決確定の日から10日以内に判決謄本と確定証明書を添えて、市区町村長に対し離婚届を提出しなければなりません。(報告的届出)

また、離婚のための裁判では和解も認められています。

離婚は身分行為であり法律効果のある大切なもの

離婚は結婚と同じ身分行為であることから、気軽な感覚で書類だけ提出すればよい、という認識の方が多いように見受けられます。

しかしながら、実際は離婚そのものが様々な法律効果を生じさせる重大なスイッチだと思っておかなければいけません。

夫婦仲が悪くなれば一刻も早く目の前から存在を消してしまいたくなるのも理解できます。

ところが、単に届出を提出してオシマイとならない事項が多いのも事実なのです。

今回お知らせした離婚の方法だけでなく、親権・養育費・子の引渡し・面会交流・財産分与・慰謝料・年金分割など多くの協議事項があるからです。

調停や裁判での離婚となれば専門職である弁護士さんへ依頼する必要があり、相応に多額の費用も発生します。

しかし、行政書士が正確な知識によって作成した離婚協議書があれば、より低廉な費用で将来の不安をなくすことが可能です。

離婚を考え始めたら、「そうだ、行政書士へ相談しよう」と気軽にお声をかけてください。

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