市民のミカタ特定行政書士!「不服申し立て」とは

普段、皆さんが身近に感じている「お役所」、ありますよね?

お住まいの地域にもよると思いますが、「市役所」であったり、「区役所」であったり、「町役場」「村役場」という方もいらっしゃるでしょう。

生活をしている上では住民票を取ることくらいしか用が無いかもしれません。

ただ、市民の皆さんが、ひとたび「家を建てる」とか「生活苦の相談をする」など、住民票のほかに用が生じると「お役所」の存在は一変します。

本ブログでは、普段あまり気にしない「市民の皆さん」と「お役所」との深い関係について記してみます。

「お役所」=「行政機関」 何する仕事?

まず前提についてお話しします。

本来、「お役所」とはイコールその地域を管轄する「行政機関」のことを指します。

「行政機関」は住民票を発行するのも仕事ですが、その他に一般の市民の皆さんがルール無く無秩序に活動してしまうと困るので、「見張る」ことも仕事です。

その「見張る」という仕事を具体的にしているのが、お馴染みの「申請」であり、それに対する「許可」という行政処分です。

そう考えると、世の中の多くのことは「申請」と「許可」の繰り返しで動いていることがわかります。

農地に家を建てるなら「農地転用許可」ですし、道路の側溝を排水先として使いたいとなれば「道路占用許可」、生活苦でどうしてもお金が足りなければ「生活保護受給」と多種多様です。

結局、一般の市民の皆さんからすれば「許可」をもらえないとなれば、自分の思うような現実にはできないことになります。

公務員なら正しい判断をするか

そうなると、「申請」に対して「許可」となるか否かに大きな関心が集まります。

「申請」を実際に審査するのは誰でしょうか?そう、お馴染みの公務員さんです。

基本的に国家公務員であれ地方公務員であれ、皆さん公務員試験を突破した有能な方々です。

「申請」の内容を正しく判断して「許可」としてもらえるものと思いますよね。

ところが、そう甘くはなく、公務員といえども同じ人間ですから判断する過程に「見落とし」があったり、「勘違い」があったり、そもそも法解釈を「誤っている」ことすらあります。

ところが、国や地方公共団体など全ての「お役所」には、行政権という強大な権力が与えられていますから、ほとんどの市民の皆さんにとっては「お役所が言うこと=正しい、逆らえない」という認識が定着しています。

それでは、市民の皆さんが本来なら得られたはずの権利利益が公務員の恣意的な判断で損なわれてしまうことになりかねません。

「不許可処分」には不服申し立てが可能

こんな風に「不許可」というカタチで行政処分が行われたら、市民の皆さんは受け入れて泣き寝入りするしかないのでしょうか?

答えは No.! です。

行政不服審査法(抄)

第2条

行政庁の処分に不服がある者は、第4条及び第5条第2項の定めるところにより審査請求をすることができる。

第3条

法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。

このように、市民の皆さんがお役所の「不許可」という行政処分に不満があるなら、法は「審査請求」をする権利を認めているんです。

この「審査請求」という手続きや、行政訴訟などの裁判を総称して「不服申し立て」と呼んでいるということです。

「不服申し立て」は誰でもできる?

こんな風に、「お役所=正しい、逆らえない」なんてことはなく、審査請求で改めて再審査をしてもらって正しい判断(許可)を求めることができます。

こんな良い制度の審査請求ですが、誰がその請求をすることができるのでしょうか??

まず第一に、「申請した当事者=本人」です。これは当たり前です。

そして第二に、「弁護士」です。これも想像がつきますよね。

特に、審査請求でも「不許可」となれば残された手段は「行政訴訟」となります。

訴訟となれば裁判になりますので、「弁護士」さんの専権業務となるのも納得です。

そして、第三に「行政書士」が加わります!

行政書士法(抄)

第1条の三 

行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。

二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

なんと、私たち「行政書士」には「弁護士」と同様に不服申し立てをすることが認められているんです!

さすがに、「訴訟」はできませんので、あくまでお役所に対して再度の審査を請求する「審査請求」のみとなります。ただ、審査請求は訴訟とは異なり簡易迅速に再結果を得ることができることは非常に有効な手段といえるでしょう。

ただし、単に「行政書士」であるだけでは不服申し立ては行うことができません。

「行政書士」になったあと、法定の研修や試験をパスした者のみが「特定行政書士」を名乗ることができ、その「特定行政書士」だけが不服申し立てを行うことができるんです。

また、「行政書士」が申請した案件にのみ不服申し立ての対象が限られていますので、ご本人が申請してしまうと「特定行政書士」でも不服申し立てに関わることができません。

ここまでを読んでおわかりの通り、住民票を取るなど簡単な申請なら本人が申請すれば良いのですが、やはり一定以上の「申請」「許可」という手続きには「行政書士」の関与が不可欠ということがいえるでしょう。

それに加えて、「特定行政書士」にだけ認められた不服申し立て(審査請求)の手続きは市民の皆さんの権利利益を実現するために大変有効な制度です。

お役所の対応に不満を感じたら、「そうだ、行政書士へ相談しよう」と気軽に相談してください。

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