高額!?ローン保証料のフシギ

「さぁ、不動産を買おう!」と決意したら、重要なのが住宅ローンですよね。

おそらく、世の中ほとんどの方がお世話になるのではないでしょうか?

そんな住宅ローン選びをしていると、銀行によってローン借入に関わる諸費用が異なる?ことに気付きます。

しかも、いくつかある諸費用の項目で皆さんが目にする項目に『保証料』なるものがあります。

これって何なのでしょうか?

本日は、この『住宅ローン保証料』について少し記してみます。

そもそも住宅ローンの諸費用はどんなもの?

さて、まずは住宅ローンの借入に関わる「諸費用」とはどんなものでしょうか?

参考として、関東圏の大手地銀をモデルとして主な項目を列記してみます。

(想定:ローン借入額3,000万円 借入期間35年間)

  • 融資手数料     55,000円
  • 抵当権設定登記料 200,000円
  • 収入印紙代  20,000円
  • ローン保証料  620,000円

融資手数料は単に事務手数料として純粋に銀行の儲けとなります。

抵当権設定登記料は銀行が土地や建物を担保に取るための手続き費用で、司法書士という資格者へ支払う報酬と国が定める登録免許税という税金を合算した額となっています。

収入印紙代は銀行と不動産の購入者との間で交わされる金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙の代金です。

ローン保証料はその金額が諸費用の中でも突出していることがわかりますね。

ここからが本題となります。

保証とは何だろう?

保証料は読んで字のごとく、保証するための料金といえます。

では、もう少し分解して考えると、そもそも『保証』とは何を指すのでしょうか?

一般に身近な例として、保証人を挙げて考えてみましょう。

民法(抄)

【第446条】

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

誰かがお金を借りようとする場合、通常は貸す人(銀行)・借りる人(一般の人)という2者間での取引となります。

2者間の取引で、仮にお金を借りる人が返済できなくなったら、お金を貸す人は回収できません。

シンプルに表現すれば、それは 「損」 をするという意味です。

これに対して、『保証人』はお金の貸し借りを3者間での取引にするものといえます。

構図としては、貸す人(銀行)・借りる人(一般の人)・保証人(家族・知人・法人など種類はいろいろ)となります。

3者間の取引にしておけば『保証人』という保険が効いている状態にできるのが利点となります。

3者間の取引で、同様にお金を借りる人が返済できなくなったら、お金を貸す人は保証人へ返済を要求すればよいということです。

このような『保証人』という保険が余計に効いていれば、貸す人(銀行)はどんどんお金を貸しやすくなります。

ここで本題のローン保証料に話を戻します。

要はローン保証料はお金を借りる人が保証人へ支払う費用ということです。

私がお金を借りるにあたって、私を保証して欲しい。ついては、その保証に見合うだけの費用を保証人であるあなたへ支払います、ということです。

少し話がわかりづらいので、1つだけ昔の話を理解してもらう必要があるかもしれません。

1990年代(平成の初期)バブル崩壊が叫ばれる前後くらいは、主にお金を借りる人が親や兄弟などに頭を下げて頼み込んで保証人になってもらっていました。

ところが、そういった親や兄弟といっても通常は一般的な財力しか持たない人がほとんどです。

いざ、お金を借りた人(主債務者である本人)が返済できなくなったとしても、保証人が簡単に肩代わりしてあげられないという事例が多発しました。

お金を借りた人・保証人のどちらも返済ができない状態となったら、お金を貸す人(銀行)はどうすることもできません。

法的には自己破産してしまえばお金を貸す人(銀行)が 「損」 をしておしまいです。

そこで登場したのが 保証会社 と ローン保証料 です。

それまでの保証人の通例であった「血縁関係を重視した自然人」ではなく、お金を貸す人(銀行)が指定する「法人」を保証人にするというルールが確立されます。

ほとんどは銀行の子会社やグループ会社という位置づけの法人で、その会社がお金を借りる人を審査します。

お金を貸す人(銀行)は、その審査にパスした人だけにローンを貸し出すという仕組みにしました。

それと同時に、ローンの金額や審査結果に応じてお金を借りる人はローン保証料という保険料のような費用を保証会社へ先払いすることになりました。

こういった紆余曲折を経て、現在の住宅ローンには ローン保証料 という費用が諸経費として計上されることになったのです。

当然、お金を借りる人は多数にのぼりますからローン保証料もたくさん集まります。

保険料と同じような仕組み(いわゆる、大数の法則)ですから、数多くの内の1人が返済できなくなったとすればお金を貸す人(銀行)は保証人(保証会社)に一括返済を請求して、保証人(保証会社)は多額のプール金であるローン保証料から返済をすればよいということになる訳です。

このようにみると、お金を貸す人(銀行)が一切 「損」をしない ような仕組みであるともいえます。

しかし、現在は多くの金融機関で住宅ローン制度は全国的にほぼ統一的な対応となっています。

なんだか大きな諸費用を支払っているのが釈然としないこともないですが、やはりローンを借りる必要がある場合には割り切って支払うしかありません。

住宅ローンは仕組みが複雑化していますし、どのような場合に審査が有利に進むのかなどテクニックも必要となる分野です。

当事務所では単なる法務サービスだけでなく、実務に根差した助言コンサルティングも行うことができます。

何か相談したいときは気兼ねなくご連絡ください。

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