不動産と消費税の関係
『消費税』の負担は本当に重いですね。
日々の生活用品だけでなく様々なサービスを受けるにも必ずといっていいほど消費税はかかってきます。
今回は『不動産の取引における消費税』に焦点をあてて少し記したいと思います。
そもそも消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対して課税されます。
その課税範囲は大変広いので、およそほとんどの取引が消費税を課税する対象となります。
おそらく皆さんの普段の生活でも「消費税がかからない」という取引は見かけないのでイメージしやすいと思います。
下記の通り、現行の消費税は2種類あります。
《 このページの目次 》
標準税率10%(消費税率7.8% 地方消費税率2.2%)
これが本則の消費税です。
2019年10月1日から現行税率となりました。
ほとんどの場合はこの税率が適用となります。
不動産取引に適用される税率もこの本則税率となります。
軽減税率8%(消費税率6.24% 地方消費税率1.76%)
本則とは別に「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の譲渡には軽減税率が適用されます。
消費税は社会全体に広く課税される性質上、低所得層や貧困層に優しくないため生活必需品については一定の軽減を図ることになりました。
そして、不動産取引には「土地の取引」と「建物の取引」がありますが、それぞれの取引によって消費税の取り扱いが異なります。
以下、順番にみてみましょう。
土地の売買 → 消費税は非課税
意外に思うかもしれませんが、土地の売買に消費税は非課税となります。
建物の建築を目的とする土地の賃借権(いわゆる借地権)についても土地の売買と同様に消費税は非課税です。
この非課税の理由ですが、消費税法ではそもそも「土地」というモノを「消費」するという性質がないと考えています。
言われてみると、たしかに「土地」は建物のように古くなって朽ち果てるとか、使うたびに少なくなるという概念はありません。
そういった「消費」という性質からみて土地(借地権含む)の売買は非課税とされているということです。
土地の賃貸 → 消費税は原則として非課税
土地の賃貸も売買と同様に基本的には消費税が非課税です。
ただし、次のような場合は例外的に課税の対象となります。
- 土地の一時貸付け(貸付期間が1ヵ月未満)
- テニスコート等の施設の利用、またはサービスを伴う土地の貸付け
- 駐車場でフェンス設置、舗装等を行っている場合
建物の売買 → 消費税は課税
建物の売買は消費税が課税されます。
建売住宅のように「土地」と「建物」を一括して売買する場合には、売買代金の総額を土地部分と建物部分とで区分して建物の売買代金について課税します。
建物の賃貸 → 消費税は原則として課税
建物の賃貸は原則として消費税が課税されます。
ただし、「居住用の」建物の賃貸は非課税とされています。
社会政策的な配慮から非課税とされているのが理由ですが、端的にいえば、国民一般にとって「住む場所」というのは最低限の生活の本拠として必要不可欠なものだから特別に課税はしないでおこう!ということですね。
以外と知らない消費税の仕組みですが、番外編として他に消費税が非課税とされている項目にどのようなものがあるのかご紹介します。
非課税項目(ご参考)
- 有価証券、支払手段の譲渡など
- 利子、保証料、保険料など
- 特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
- 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
- 外国為替など
- 社会保険医療など
- 介護保険サービス、社会福祉事業など
- お産費用など
- 埋葬料、火葬料
- 一定の身体障がい者用物品の譲渡、貸付けなど
- 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
- 教科用図書の譲渡
意外と知らない消費税の課税、非課税の項目はジックリ見てみると面白いものがありますね。
特に、不動産取引は高額なので消費税の金額も多額になります。
消費税がかかるもの、かからないものがありますので専門家に相談しながら適切な資金計画を立てましょう。
当事務所では行政書士業務に付随して、不動産に関するコンサルティングも行っています。
ぜひ気軽に声をかけてください。