赤道?青道?って何だろう
『赤道』や『青道』という単語を耳にしたことはありますか?
おそらく、「ある」と答える方の多くは不動産取引の実務に就いている方か、もしくは市役所などにお勤めの公務員の方くらいかもしれません。
今回は不動産の実務に大変重要となる "道路" に関する知識の中から『赤道』『青道』について記したいと思います。
まず前提条件となる、 "道路" についての話をしましょう。
皆さんがよく使う道路があります。車で走るためのアスファルト舗装されたアレですね。
一般的に "道路" と耳にしたら、車で走る道路を思い浮かべます。
ところが、不動産業界ではそれが異なります。
不動産業界でいうところの "道路" というのは、見た目がアスファルトかどうかなどは関係がありません。
もう少し詳しく表現すると、「建築基準法」という法律の中で定義される意味での "道路" か否かで判断するのです。
それはなぜでしょうか?
現実的には、土地の前に "見た目の道路" さえ存在していれば出入りに困ることはありません。
車であれ、徒歩であれ "見た目の道路" があれば自由に使えます。それでいいのでは?という意見もありそうです。
それなのに、不動産業者がわざわざ「建築基準法」上の "道路" にこだわるのは、土地がその "基準法道路" に接しているかどうかによって、土地の上に建物を建築することができるかどうかが左右されてしまうからです。
建築基準法では、建物を建築するにはその土地が "基準法道路" に接していないといけないという規定があります。
通常、土地を買う人は土地を自由に使用したい、もっと言えば、建物や工作物を建築したいはずです。
たまたま、資材置場や駐車場として利用する方は別として、大半の方は「建築」を目的としています。
そうなると、土地が「基準法道路」に接していないと土地を買う意味がありません。
だから、不動産業者は "見た目の道路" ではなく "基準法道路" にこだわる訳です。
そこで冒頭の本題に戻りましょう。
結論、『赤道』『青道』というのは、これまで説明してきた "基準法道路" に該当しないものを指します。
明治時代に入り、明治新政府が行った地租改正で公図が作成されました。
その時の目的はあくまで課税(地租)だったので、民間の土地にしか焦点が当てられませんでした。
そのため、もともとあった道路や水路などは地番をつけずに、単に赤色や青色で色をつけておいて簡便的な管理しかされませんでした。
その名残が今でも残っているのが、前述の『赤道』『青道』となるのです。
しかも、長い年月の間に昔は一応の「道」として形態があったものが土地の一部に紛れ込んでしまったり、一応の「水路」としての形態があったものが道路の一部に紛れ込んでしまっているケースも少なくありません。
だから、"見た目が道路" だとしても『赤道』『青道』である可能性を検討して、市役所など管轄の行政において徹底した不動産調査が必須になる訳です。
そういった調査が不足していると、土地を買ったものの家を建てられないというような非常にマズい状況となります。
一般の方が直接的に『赤道』『青道』にかかわる機会は少ないと思います。
ただ、いざ不動産取引を行うとなれば不動産業者の重要事項説明において、『赤道』『青道』といった文言を耳にすることがあったら注意して聞かなければなりません。
また、不動産の実務に就く業者の方や宅地建物取引士においては、買主にとって大きな目的である建築の可否を左右する重要項目となりますので、徹底した調査が必要です。
『赤道』『青道』いずれにしても、法定外公共物として、所有・管理を管轄する行政があります。
手続きをするにあたり、その管轄が市役所なのか、土地改良区なのか、財務局なのかなど詳しく聴取する必要があることは忘れないようにしましょう。
不動産取引は事前の調査が大変に難しく、一個人で全てを知ろうとしても一人前になるまで5~10年はかかります。
そういった意味で、不動産業者や宅地建物取引士には高い職業観と実務経験が必要といえるかもしれません。
当事務所では、行政書士だけでなく宅地建物取引士として不動産コンサルティング業務も承っています。
どうぞ、気軽に声をかけてください。