重要事項説明書とは?
いざ「不動産を買おう!」と思ったとき、皆さんはどのようなアクションを起こすでしょうか?
まずは、気になる物件の情報がインターネットに掲載されているので、それを隅から隅まで何度も見るでしょう。
しかし、それだけで買うことはできないので、実際に土地や建物を自分の目で見て確かめると思います。
そこで大体OK!と、すぐに購入に踏み切れる方には『重要事項説明書』は不要かもしれません。
そういった少数派の方は別として、今回は不動産取引において最も重要といってもよい『重要事項説明書』について記したいと思います。
重要事項説明書は、その名のとおり不動産についての「重要」な「事項」を「説明」するための「書類」です。
一般的になじみのある書類は、おそらく「売買契約書」でしょう。
不動産取引のような人生で最も高額なモノとなれば、契約書こそ重要だと思う方がほとんどです。
それ自体は間違いではないのですが、実は『重要事項説明書』はその売買契約書の「前提」を形づくる非常に大切な書類なのです。
重要事項説明書は誰が作成しているのでしょうか?
そして、誰に説明するための書類なのでしょうか?
ここに、その重要さのヒントが隠されています。
重要事項説明書は、不動産取引に関するルールを規定している「宅地建物取引業法」によって作成と説明が義務付けられています。
誰に義務付けられているのかというと、「宅地建物取引業者」つまり『不動産屋さん』です。
不動産屋さんが重要事項説明書を作成し、そしてその内容を不動産取引の当事者である買主へ説明することになります。
ここで冒頭の不動産を購入する話に戻ってみましょう。
物件の現地を確認して、「陽当たりが良さそうだ」とか「家を建てるのに十分な広さがある」といった目で見てわかる要素は誰でも把握できます。
しかし、不動産は実物のモノとしての対象だけでなく、目で見えない様々な要素も含めて一切合切を購入することになります。
目で見えない様々な要素で代表的なものは以下です。
- 土地や建物の権利関係に問題はないか
- 建物などを建築する際に特別な規制や法律がないか
- ライフライン(飲用水・電気・ガス等)は整っているのか
- 土地の中や建物の中に瑕疵(例:埋設物や雨漏りなど)はないか
- どのようなお金が必要になるのか
このように代表的な例だけでも多くの事項があることがわかります。
さて、このような事柄を一般個人の方が自分で不備なく調査することは可能でしょうか?
ほとんどの場合、それは不可能といえます。
そのため、不動産取引のプロである不動産屋さんが代わりに調査した上で、『重要事項説明書』にまとめあげて買主へ説明することが法律で義務付けられているということなのです。
不動産取引は非常に高額です。
一旦、売買契約を交わせば基本的に途中で止めるということもできません。
だからこそ、売買契約書を交わす前に必ず重要事項説明書を用いた説明を受けることが大切になります。
逆にいえば、重要事項説明書の内容を聞いた上で、事前に知っていた情報と異なる内容や知らなかった新たな情報があれば、説明後の売買契約を交わさないという選択肢も採り得る訳です。
契約内容について冷静に考え直す機会が設けられているという点で、重要事項説明がいかに大切かおわかりいただけると思います。
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