土地改良区には要注意!
農地転用の申請を進めると必ず耳にするのが『土地改良区』です。
今回は土地改良区が一体どのような団体なのか、また、農地転用の申請においてどのような手続きが必要となってくるのかについて記してみようと思います。
《 このページの目次 》
組合という団体
変わった名称のせいもあって、あまりイメージが湧きづらいかもしれませんが、端的にいって土地改良区は『組合』であり1つの団体です。
法的な位置づけは以下の通りです。
➀土地改良法に基づき、一定の区域内に農用地を所有する者15名以上が土地改良事業計画等を作成して土地改良区を設立する
➁都道府県知事は➀の計画内容等を審査した上で公告を行い計画内容や定款を縦覧する
③公告により一定期間を経過しても計画内容等に異議がない場合、都道府県知事は土地改良区の成立を認可する
土地改良区は農業用水の確保や水路の整備、区画整理など農業の生産力を高めるための事業を組合員で協力して行うための法人です。
改良事業の拠出金と受益地
組合員はその事業を行うため一定の資金を土地改良区に拠出しています。
そして、組合員が所有する土地改良区の区域内の農地を「受益地」と呼びます。
農地転用申請との関係においては、その農地が土地改良区の受益地なのかどうか確認が必要です。
もし、農地が受益地である場合には農地転用に先立って土地改良区の受益地からの除外申請を行います。
受益地になっていると現在進行形で負担金を払っている場合もありますし、形骸化した土地改良区で何の負担もなく、組合としての活動も行わなくなっていることもあります。
農地には「畑」と「田」が多いですが、どちらかというと「田」であって更に土地改良区の受益地でもある場合には、場合によって受益地からの除外にあたって数年分の負担金まとめ払いを求められることがあります。
この場合には数十万円単位での大きな負担となることがありますので注意が必要です。
受益地かどうか見分けるには?
農地転用を行おうとする農地が土地改良区の受益地になっているかどうかは、基本的に市役所や町役場での担当課に聞けばわかります。
ただ、土地改良区はあくまで独立の組合であり市役所のような公的な機関ではありません。
そのため、市役所や町役場において受益地かどうかが判然とせずに確認できないこともあります。
その場合には、土地改良区の担当役員に直接に聞かなければなりません。
多くの場合、担当役員といっても専属の職員という訳でなく、通常のお仕事を持つ勤め人が1年ごとの持ち回りで役職として引き受けているに過ぎないことがほとんどです。
そのため、受益地の除外申請をするにしても負担金の確認をするにしても、いわば一般人に申請したり確認したりするので通常よりも時間がかかりがちです。
農地転用を急いでいるときは土地改良区でどのくらい時間がかかるのか検討しておくことが大切です。
法律だけでない地道な調査
このように農地転用にあたっては農地法だけでなく土地改良法など複数の法令が複雑にからみあっています。
そのため、なかなか自分で申請を完結することが難しく、ほとんどの場合はプロである行政書士が手続きを代行します。
農地の手続き、また、土地改良区の手続きで困ったら「そうだ、行政書士に相談しよう」と気軽に声をかけてください。