お独り様の最期ー死後事務委任とは
"死" を見すえた準備をしましょう。
言葉で書くと簡単ですが、実際どうでしょうか?
普段、自分が「亡くなる」ということを真剣に考えることなんてありませんよね。
"行政書士" である私でさえ、普段から自分が亡くなることなんて考える機会は多くありません。
そこで本ブログでは、自分が「亡くなるとき」、もっといえば「独りで亡くなるとき」のことに焦点を当ててみたいと思います。
死後事務ってなに?
狭義の意味でいう「死後事務」とは一体どのような役割を果たしているのでしょうか。
「独り身」といっても人それぞれに様々な経緯があると思います。
・愛するパートナーに先立たれた
・離婚その他の理由で血族・親族はいるものの疎遠
・そもそも独身貴族として自由に生きてきた
ただ、いずれの場合にも最期に違いはありません。
"死" はどんな人にも平等に訪れます。
想像してみてわかるように、自分が亡くなったら誰かに死後の自分の面倒をみてもらう必要があります。
そのことを想像していない方が意外と多いものです。
では、人が亡くなったら何をしなければならないでしょうか?
この質問に明確に答えられる方はまずいないと思います。
例えば、下記のような項目が考えられます。
- 遺体の引取り
- 菩提寺や親族関係者(いる場合)への連絡
- 火葬、埋葬の手配
- 通夜、告別式の手配
- 永代供養に関する事務
- 医療費、入院費、施設利用料、賃貸料、公共料金の支払い
- 電気、ガス、水道等の供給契約の解除
- 賃借建物、病院、老人ホーム等の明渡し
- 家財道具、生活用品の処分
- 行政への諸届け事務(相当多くある)
- 相続財産管理人の選任申立て手続き
- 愛犬や愛猫など大切なペットの処遇…etc
身内がいれば安心?でも・・・
このように、人が亡くなると非常に多くの手続きや事務が必要であることがわかります。
こういった「死後事務」は、ご家族やご家族やご親族がいる方であれば、ほとんどの場合、自分で事前の準備をしていなくても何とか執り行われます。
残された家族や親族は大変ですが、ひとまず、亡くなったアナタはホッと一安心できます。
しかし、「独り身」の方はそうはいきません。
生前に年老いて弱るよりも前の段階から自分で自分の「死に方」を決めておかなければならないということです。
そして、それが自分の「尊厳ある死」を迎える唯一の方法になります。
死後事務を前もって依頼しておく
私たち "行政書士" は、このような「独り身」の方がかかえる難題に応えることができます。
それが、「死後事務委任契約」という法律行為です。
簡単にいえば、生前のお元気なうちに「独り身ならでは」のリスクを検討して、それを代わりに解決してもらうことができるように委託しておくという契約です。
実は、「死後事務委任契約」は亡くなった直後における非常に狭い範囲の事務を指します。
広義で考えれば、通常は "死" の前後にも多くの検討すべき事項があります。
例えば、「生前」でいうと徐々に体が弱ってきて銀行へも行けないとか、徐々に認知症を患ってきて判断能力が衰えてくることが考えられます。
「死後」でいえば、「独り身」であるアナタの財産をどのように処分するのかという問題があります。
生活用品なら廃棄処分してしまえば良いのですが、金銭その他の財産がある場合には「遺言」で知人友人など身近な誰かへ遺贈するということも考えられます。
このように、「死後事務」は亡くなった直後を起点として、その前後に至るまで、「独り身」の方が尊厳ある亡くなり方を選択し、その方法を然るべき専門家へ託すという手続きになります。
死後に必要な手続きには期限がある
かなり細かな論点になるため、前述の「死後事務」の一覧には記載しませんでしたが、特に行政関係や保険関係への諸届けには多くの項目があります。
しかも、その諸届けそれぞれに法定の期限が設けられています。
一部だけ例を挙げてみます。
- 死亡届 死亡を知った日から7日以内
- 年金受給停止 国民年金の場合 死亡から14日以内
- 介護保険資格喪失届 死亡から14日以内
- 所得税準確定申告 死亡から4カ月以内
- 相続税の申告 死亡日の翌日から10カ月以内
- 生命保険金の請求 死亡から2年以内…etc
これだけのことを、たまたま隣に住んでいる方や町内会長さんなど、地域の住民がアナタの代わりにボランティアで行ってくれるとは考えにくいでしょう。
亡くなる側の「独り身」の方であっても、尊厳ある死を迎えたいでしょうし、安らかに火葬・埋葬(または散骨)してもらいたいと思うのが心情です。
このように「独り身」の方は、ご家族・ご親族がいる方よりも1つ多く事前準備が必要です。
また、ご家族・ご親族がいても同様に自分自身のエンディングをどのように迎えたいかは検討に値するでしょう。
そんなとき、「死後事務」はもちろんのこと前後にある「遺言」「相続」までトータルでご相談に乗れる専門家が必要です。
もし、自分自身の "終活" を考えたいと思ったら「そうだ、 "行政書士" に相談しよう」と気軽に声をかけてください。
きっと、最期を整えることができて心から安心することができるはずです。