行政書士はいらない?説

ここで改めて、皆さんに質問です。社会生活に身近な "申請" って何でしょう??

実は "申請" という単語ひとつにも法定された定義があります。以下、みてみましょう。

行政手続法(抄)

【第2条】

法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

この定義のほかにも、広義の "申請" としては法令に基づかない補助金や支援金等の交付を申し出るという行為も含まれます。

私たち "行政書士" はこれら申請に必要な "書類作成" を代理し、申請も代行するプロな訳ですが、ここで追加の質問です。

申請代行の依頼先って "行政書士" 以外の一般事業者さんに頼んでもいいのでしょうか?

答えは "Yes" です。

意外にも "申請代行" そのものは法律による制限はなく、本人が行うのはもちろん、一般事業者が代行することも可能です。

でもそうすると、わざわざ "行政書士" のような堅苦しいセンセイに高い報酬を支払って頼む意味はないでしょうか?

答えは "No" です。

なぜか? その答えは "法律" にあります。

行政書士法(抄)

【第10条】

行政書士は、誠実にその業務を行うとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。

【第10条の2】

行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。

【第13条の2】

行政書士は、その所属する行政書士会及び日本行政書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。

いかがでしょうか?

一般事業者、つまり普通の営利目的の会社組織が行う場合の "業務" に比べて、同じ業務を "行政書士が行う" というだけで、業務上の誠実・品行方正責務、依頼者側が支払うことになる報酬の明朗会計義務、ひいては、依頼者側から請ける業務のための資質向上・研修努力義務まで "法定" されていることがわかります。

そして、さらに、

行政書士法(抄)

【第12条】

行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなった後も、また同様とする。

これが "守秘義務" と呼ばれる規定です。

"行政書士" が法律によって特別な信用を得ている根拠条文となります。

また、それは同時に "行政書士" が肝に銘じる重要な責務として律する根拠ともいえます。

"申請代行" に限らず、一般事業者が自由に業務として行って良いとされる「非独占業務」(特に士業でなくても商売としてやって良い業務のこと)は世の中にたくさんあります。

"行政書士" には上記の通り、いわば法律上の身分や特権があるともいえる訳ですが、その一方で一般事業者にはない、 "法的な責務" を背負っているからこそ信用があるということです。

商品・サービスを購入するのに安くて困ることはありません。

しかし、単に、支払う報酬の多寡(多い少ない)ではなく、法的な業務規律の下で行われている安心感を買っていただくことには、支払う金額以上の "価値" があるのではないでしょうか。

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