不動産を身近に感じよう
当事務所のメイン業務でもある "不動産"
このテーマを掲げた理由は、世の中にある「不動産に関することって怖い」「難しい」「危ない」といった誤解です。
多くの方が感じるそれらの誤解は、そのほとんどが「不動産」をきちんと理解しないことにあります。
不動産の定義はあるのか
そもそも「不動産」って何でしょうか?
「家」のこと?家が建ってる「土地」のことでしょうか?
「不動産」には明確な定義があり、民法によって法定されています。
民法(抄)
【第86条】
土地及びその定着物は、不動産とする。
【同条 第2項】
不動産以外の物は、すべて動産とする。
この条文からは、まず「土地」は不動産であるということがわかります。
次に、「その定着物」についてですが、「その」は指示詞で「土地」という名詞を指しています。
言い換えれば「土地の定着物」も不動産ということになります。
ここで「定着物」?となりますが、代表的な定着物は皆さんご存知の「建物」です。
ですから、「建物」も不動産です。
土地と建物のほかは?
細かいことを言えば、ブロックの上に置いただけの物置やレンタルハウスなど容易に移動できるようなハコは「建物」にはあたらず、「不動産」でもありません。
土地に生える樹木や庭石、外構工事などで設置するブロック塀やフェンスはどうでしょうか?
第86条2項で「不動産」以外の物(ブツ)は「すべて動産」と法定されています。そうすると、本来は植栽や庭石、ブロック塀なども不動産ではありません。
立木法という法律によって一部の樹木や果樹などは独立の「不動産」となることもあります。しかし、普通一般の生活では目にしないので割愛します。
主物と従物の関係
民法(抄)
【第87条】
物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
【同条 第2項】
従物は、主物の処分に従う。
ただ、第87条にあるように「土地」という物に庭石やブロック塀などを「附属させたときは」、それら動産は「土地」を主、「動産」を従とする主従関係になります。
主が「建物」である場合も、例えば「畳」などが従物となり同じく主従関係になり、主物(今回であれば不動産)が処分(売買や交換など)されると従物である動産も一体のものとして相手方へ引き渡され移転します。
不動産は限定的でほとんどは動産
ここまでを見ると、結局、「不動産」の定義はかなり限定されていることがわかります。
不動産売買のイメージは非常に複雑なものと思われがちですが、むしろ世の中のほとんどは不動産ではなく動産です。
コンビニのおにぎり、自動販売機のジュース、テレビ、家具、ダイヤモンドの指輪、金塊まで全てが動産です。
ちなみに、ペットの犬や猫も民法上では動産です。
そんな多種多様な動産と比べたら、不動産は非常にシンプルな物を取引しているにすぎません。なにせ「土地」と「その定着物」のみです。補足するなら、せいぜいその従物までが対象です。
おそらく、不動産の取引にかける金額の大きさが関わる人々を怖がらせる要因なのかもしれません。
でも、おにぎりを買って受け取るのも、土地・建物を買って受け取るのも法律上は一緒です。
是非、「不動産をもっと楽しく身近に」感じて、取引を怖がらずに正しく理解してください。そうすれば、きっと皆さんの人生に役立ちます。